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タムケンブログ

コンテンツの未来について、好きなコンテンツについて、書き記します。

腐り気味の大学教育への提言:上位顧客向けにシフトしてみては如何?


試験前なので久々に大学の授業を受けているのですが、あまりの非効率さに愕然としました。
マスプロ授業なのですが、教科書に書いてある基本的な説明と数式を延々板書して、時々解説。またしばらく板書して、ちょっと解説。週二回のゼメスターの授業なのに、学期末になっても教科書の半分も終わらない。


何より問題なのは、教室一杯の学生の多くがその板書を必至にノートにとってるんです。教科書に書いてあるのに。仮にも一流大学と呼ばれる大学の授業ですよ。なんというか、閉口。他の多くの授業も同様の状態です。その分野で権威と呼ばれるような教授の授業でさえ、中身は教科書の解説の域を超えない事が多く。こう頭の使い方を学ぶのではなく、単なる学術的な成果を覚えるだけの講義ばかりなら、「大学は卒業さえすれば良い」なんて言われるのも至極当然でしょう。本読めば分かるんだから。


問題なのは、学問と対峙することによって考える訓練をしたいと考える学生、関心のある学問の学習に憧れを持って入学した学生がこれでは腐ってしまうということ。大学教育に意味を見出そうとしているいわば上位顧客は満足せず、単位だけあればいいと考える下位顧客・「いい高校いい大学いい会社」幻想でも持っているのか高校と同じ感覚でただ真面目に大学に通うだけの学生の満足度ばかり上げている訳です。こんなんでは上位顧客の海外流出は今後益々増えていってしまうのではないかと思ってしまいます。


この状況を少しでも良くするには大学の根本的な姿勢が変わらないと難しいかもしれませんが、いくつか考えられそうな事を挙げてみることにします。



■入門科目の板書廃止
これくらいはやってる先生沢山いるけど、基礎的な授業ほど普通の板書が沢山されていて、時間の無駄な感じです。一応スクリーンとプロジェクター完備の教室が多いのですが、それでも。教授の年齢に関係なくあります。
該当するよくまとまった教科書がある場合は、板書内容のメモをOHPで写すだけでも相当効率上がると思います。明確な教科書が無い科目なら教授の付加価値が大きいですから板書のほうがいい場合もあるでしょうが、教科書の勉強を必修でさせるためだけの入門・基礎科目に関しては、教科書そのままの板書をするくらいなら、こっちのほうが明らかに効率いいと思うのですが…。そのファイルをネットで公開するとなお良し。

■基礎科目のオンデマンド化
冒頭で述べたケースでは、入門の教科書半分の為に週2回×10週くらい、20回程度の授業が行われています。これは極端なケースだとは思いますが、こんな事の為に半年も延び延びやってどうするのでしょう。ビデオに撮ってやる気のある学生は先取り出来るようにすれば、発展科目の平行学習が可能になります。板書時間削ってまとめれば、丸1日ないし2日で一科目程度の習得は可能と考えられますので、初年度から楽しく学問でき得る方法が構築可能だと思います。*1別にネットで公開までしなくても、録画して図書館で見れるようにするだけで十分生きると思うのですが…。別にマスプロ授業なら教授と学生の双方向のやりとりもないでしょうし。仲良く友達とわいわい受けたい方は普通に受けていただければよいですし。一、二年前の授業でも大して内容が変わりそうにない基礎科目なら実現可能ではないかと思います。


■入門教科書輪読ゼミ
基礎の勉強が受身になりがちでつまらないなら、いっそゼミナール形式にして箇所ごとに学生が担当持ってみんなに説明するようにすれば、「人に説明する」プロセスで素敵な学習効果が得られそうな気がします。先生は時々補足するだけなので準備不要、週90分時間を割いていただくだけでなんとかできないでしょうか。


■ゼミのオープン化
最近はゼミを選定中の二年生向けにゼミを公開する「オープンゼミ」というものが多く行われています。実際に行ってみたのですがこれが面白い。三年生が研究内容を発表し、適宜ゼミテンと教授が突っ込みを入れていくところを見たのですが、その双方向のコミュニケーションは一方的な講義よりもずっとワクワクします。せっかく名だたる教授陣が労力をかけていらっしゃる魅力的なコンテンツになっているのだから、もっと常に学内向けにはオープンにして幅広い学生が利益を享受できるようにしたらいいんじゃないかと思います。裁判傍聴に近い感じの面白さです。


というか、いくらでもありそうですが…


『創造するミドル』という本の一節で、一橋の沼上先生が学生に向けたメッセージを記しています。今日のブログはその言葉にインスパイヤされて書きました。こういう先生がもっと偉くなったら、うちの学校ももう少し変わってくれるのかもしれません。最も、私の在学中には無理でしょうが…。

*1:実際にはそういう試みも大学内にあるようなのですが、2年前の科目が一つ二つ図書館で見れる程度で告知もほぼされていない事から、 実用化する気はどうやらないらしいです。